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きもの便利手帳

4月の着物~きもの12ヶ月シリーズ~

4月の着物

春爛漫の4月。季節に合った着物の種類や色・柄、それに合う帯と小物をまとめました。
4月におすすめの着物のコーディネートもご紹介します。

4月にふさわしい着物や帯の種類や色・柄

着物は仕立てにより「袷(あわせ)」と「単衣(ひとえ)」と「薄物(うすもの)」に分けられます。
「袷」は裏地が付いた着物で、「単衣」は裏地の無い着物、「薄物」は薄く透け感のある仕立ての着物を指します。
4月には「袷」の着物を着るのがならわし。10月から5月までは「袷」、6月と9月は「単衣」、7月と8月は「薄物」を着るとされていましたが、昨今の地球温暖化で4月でも初夏のような暑い日が多くなったため、4月でも「単衣」を着る人が増えてきているようです。ただし、冠婚葬祭のようなフォーマルの場面では単衣はNGですので、注意しましょう。

着物には季節を感じながら着るという楽しみがありますが、咲く前の花柄の着物を着ること、つまり季節を先取りする柄を選ぶことが粋に通じ、お洒落とされています。その点から言うと、4月に着るのに適した着物の花柄は5月に咲く桃、藤、牡丹、菖蒲(あやめ)、薔薇など。6月に咲く百合、紫陽花(あじさい)などもおすすめです。

桜が満開となる4月ですが、季節の先取りをマナーと考えるなら、この季節に桜柄の着物は避けた方がベター。どうしても着たいという場合は、風景と被って野暮だと思われるのを避けるため、桜が満開の時期だけは避けるようにしましょう。

また、優雅に舞う蝶柄の着物は春に似合うと思われがちですが、実は通年使われる柄。そのため、春に着る場合は季節のお花柄の着物と蝶柄の帯、またはその逆を組み合わせるのがおすすめです。

帯も着物と同様、花柄であれば季節の少し先をいくのが望ましいとされています。着物と帯が同じ花であれば問題ないのですが、咲く時期が違う花の組み合わせは違和感を与えてしまうため、注意が必要です。

4月は季節の変化を表す「二十四節気」のうち、「清明(せいめい)」と「穀雨(こくう)」の節気が訪れます。この二十四節気や旧暦は、着物の衣替えや季節感のもとになるもの。節気ごとにふさわしい着物は以下のようになります。

清明 (せいめい/4月5日ごろ)

清らかな明るい光が満ちあふれることを表しています。草花が芽吹いてまっすぐ育ち、やがて花を咲かせる季節。袷や単衣の着物を着始める時期となり、帯は袋帯や染帯、名古屋帯を合わせます。
着物の下には単衣の長襦袢を。半衿は塩瀬(しおぜ)、帯揚は綸子(りんず)や絞り、縮緬(ちりめん)などがよいでしょう。

穀雨(こくう/4月20日ごろ)

春に降る恵みの雨が穀物にうるおいを与えるという意味で、草木が水気を充分に吸い込み、勢いよく育っていく季節を表しています。
着物と帯・小物、ともに「清明」と同じでOKですが、皐月(5月)を先どって鯉のぼりや武者人形といった端午の節句をモチーフにした柄や、菖蒲(あやめ)や鮎、竹の子といった旬を感じる文様を着るのがおすすめ。

春を思わせる淡い桃色、若草色、パステルカラー、芽吹くような明るい緑色。木々や花が芽吹き、新しく物事を始めるのにふさわしい4月には、着物も爽やかな淡く明るい色が似合います。

4月におすすめの着物コーディネート

着物と帯、小物の色合わせには3つのコツがあります。

1.着物の柄に使われている色から、帯の色を決める

2.着物の色の補色(反対の色)を用いた帯にする

3.着物と帯を同系色にする

半襟や帯締め、足袋といった小物の色も着物や帯で使っている色調と合うようにコーディネートすれば、すっきりと統一感を出すことができます。

花が咲き誇る春には明るいパステルカラーや淡いピンク色の着物が似合いますが、着物だけでなく帯でも季節を表現するのもまた粋。
例えば、艶やかな菖蒲(あやめ)の絽縮緬(ろちりめん)には、藤の花をあしらった帯を合わせると、春爛漫のコーディネートになります。

淡いベージュの着物に萌黄色の帯を合わせて木々の芽吹きを感じさせ、帯締めに爽やかな青色を選んで引き締める、といった合わせ方もシックで素敵。周囲が花柄や暖色系で満ちる春に、敢えて幾何学文様(きかがくもんよう)や有職文様(ゆうそくもんよう/平安時代の貴族が衣装の柄として用いたという織り文様)をクールに着こなすのもお洒落ですね。
例えば格子柄の入ったクリーム色の着物に、柿渋色(赤みを帯びた茶色)の縞柄の帯を合わせると、周囲とはひと味ちがう着こなしができます。

4月は春とはいえ「花冷え」と呼ばれるように急に気温が下がる日もありますから、小さく畳んで持ち歩けるショールを持参するなどして温度調節を心掛けましょう。

4月の式典といえば、子どもたちの入園式、入学式。
春のフォーマルには、色無地や無地のように見えながらも細かく総柄が入った江戸小紋がおすすめ。入園・入学式はあくまで子どもたちが主役ですから、礼節を尽くしつつも控えめな江戸小紋はぴったりです。

入学式での着物の帯は白や淡い色の袋帯が基本。着物が控えめな色の場合は、明るいピンクやブルー、グレーがかった薄紫、淡い藤色などにすると華やかな印象を与えられます。
小物としては、末広と呼ばれる小さな扇子があるとよいでしょう。

季節のきものきものと小物

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