桜の着物と季節の気になる関係
華やかな雰囲気を持つ桜の着物を着こなしてみませんか?桜柄の着物を粋に着こなすポイントを押さえ、和装の似合う素敵な大人の女性になりましょう。
Contents
桜柄の着物や帯、季節はいつからいつまで?
「桜柄の着物を着ることができる季節はいつ?一年中着ても良いの?」
「着たいけれど、どんな柄のものがいいのかわからない…」
そんな疑問をお持ちの和装ビギナーのために、桜の着物を着る際のルールやマナーを解説します。
桜の着物は一年中着てOKというけど、本当?
日本を代表する花である桜。着物の世界でも桜柄は「豊かさ」や「繁栄」をあらわす縁起の良い吉祥文様とされており、とても人気の高い柄です。人気ゆえにさまざまな桜柄の着物がありますが、大きく分けて、一年中着ても良い桜柄と桜の季節だけに着た方が良い桜柄があるのです。
一年中着ても良い桜柄には、「花弁だけを描いたような、桜の花がデザイン化されたもの」あるいは「紅葉、楓、菊などの他の季節の柄と桜が一緒に描かれたもの」があります。つまり、桜がデフォルメされて紋様化した「桜紋」「桜花紋」の着物は、一年中着てもOKということ。桜柄の着物を季節に関係なく一年中着たいときは、このような桜の柄を選びましょう。
一方、桜の季節だけに限定した方がよい着物の桜柄は、桜が「写実的」かつ「桜単独」で描かれたもの。写実的とは桜を自然のありのままに表現しているということで、具体的には、花弁だけでなく枝や幹も描かれている状態を指します。
桜柄の着物に関するしきたりやマナー
桜の季節にだけ着ることができる、写実的な桜柄の着物。ですが、写実的な桜柄と一口に言っても、つぼみのもの、満開に咲き誇っているもの、そして花びらが散っているものと色々あります。どの時期にどの桜柄の着物を選んだらよいか…ポイントは「先取り」です。
桜の季節になり、どの桜柄の着物を着ようか迷ったときは、窓から桜の木を観察してみてください。その桜の木がつぼみであれば、満開の桜柄の着物を。その桜の木が満開であれば、花びらが散っているデザインの着物を選びましょう。実際の桜よりも少し進んだ桜の状態を表現した桜柄を「先取り」するのが、桜柄の着物を粋に着こなすポイントです。
桜柄の着物を着ていくうえで注意しなければいけないマナーもあります。着物を着ていく代表的な場所といえば、結婚式や入学式・卒業式。
結婚式の主役は花嫁、入学式・卒業式の主役は子供たちです。桜柄の着物は華やかで周りを明るい雰囲気にしますが、主役よりも目立つことはNG。桜柄のデザインが派手すぎないか、着物全体の色合いが濃すぎないか、注意をはらいましょう。
では、桜満開のシーズンにふさわしい着物とは…?
桜満開、陽気はポカポカ。そんな日はお花見に行きたくなりますよね。「せっかくだから着物を着て行きたい。でも、先取りの“桜が散っている柄”は持っていない…」という方におすすめの着物は「小紋」。
小紋とは着物全体に柄が入っているもので、柄の大きさは大小さまざま。柄と柄の間が広く取ってあり、飛び飛びに柄が入っている「飛び小紋」というのもあります。小紋は着物の中では「カジュアル着」に分類されるもので、気軽なお出かけに着ていくのにぴったりです。
「花見に行くときは桜の邪魔にならないように、着物の花柄は避けるべきだ」という人もいれば、「せっかくの花見だから桜に合わせた柄の着物を着たい」という人もいますが、お花見に着ていく着物には「桜柄の場合は先取りをする」「満開の場合は桜柄を着ない」という以外の特別なルールやマナーはありません。せっかく着物を着るのですから、自分らしさを表現できる色や柄を選んで楽しんでくださいね。
桜柄の着物・おすすめコーディネート
着物、帯そして羽織にはそれぞれに「格」というものがあり、格が高い(フォーマル度の高い)着物には格が高い帯や羽織を、格が低い着物には格の低い帯や羽織を合わせるのが、着物のコーディネートで守るべきポイントになります。格が低いといっても悪い意味ではなく、フォーマル度が低い、つまりはカジュアルに分類される着物ということ。
桜の季節は花冷えする時期でもありますから、着物や帯に加えて格の合った羽織を組み合わせて、コーディネートを楽しみましょう。ここでは、桜柄の着物を使った着こなしの一例をご紹介します。
コーディネート1.桜柄の着物に合わせる帯は?
花柄の着物に花柄の帯を合わせると「花×花」となり、柄同士がケンカしてしまいます。花柄の着物になじむのは無地の帯。無地の帯が無い場合は、古典文様・七宝柄・幾何文様などの花ではない柄の帯を合わせましょう。着物と帯で模様の大きさを変えれば、メリハリのついたコーディネートになりますよ。
コーディネート2.桜柄の帯の活かし方
桜柄の帯を主役に、春や桜をイメージした淡いピンク色、クリーム色または黄緑色の無地の着物を合わせるのがおすすめです。帯の桜柄が写実的(桜とともに枝や幹が描かれており、桜を自然のありのままに表現している)な場合は、季節を先取りした桜柄を選ぶよう気を付けて。
コーディネート3.着物と羽織の組み合わせ
着物と羽織のコーディネートは、着物に使われている色のうちどれか1色を羽織の色にも取り入れるのがおすすめ。例えば、着物や帯に使われている柄の色と羽織の色を合わせてみましょう。一方、華やかな桜柄の着物に柄の羽織を組み合わせる「柄×柄」の場合は、ピンクとグリーン、水色とオレンジなど、羽織の色を着物の色の反対色にしてみるのもおすすめです。