着物に関する相談まとめ ~選び方・着方・マナー・保管方法~
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【着物に関してよくあるご相談や困りごと】解決するポイントを紹介
譲り受けた着物でも古臭くなく着られる?
着物は丈夫で長持ちするため、祖母や母から代々引き継がれているという方も多いでしょう。着物の形は昔から変わらず、仕立てから時間が経った着物でも違和感なく着こなすことができます。
ですが、柄や色使いなどは時代を反映しているものもあるため、古臭さを感じて袖を通すのをためらうこともあるかもしれません。
譲り受けた着物を今風に着こなすポイントは、帯の選び方や小物づかいを工夫すること。帯は存在感が強いので、昔の着物でも今風の柄や色の帯を組み合わせれば印象が大きく変わり、古臭さを感じさせません。
そのほか、帯揚げ・帯締め・帯留めといった小物も差し色になる重要なアイテム。着物の色合いや着る季節に合ったものを選んで、コーディネートを楽しみましょう。
また、「悉皆師(しっかいし)」という着物の加工全般の相談や要望に応えられる方にお願いすることで、着物の柄や色を大きく変えることも可能です。
◆附下の色・柄の雰囲気を一新
◆母親が着た振袖の色使いを変えて鮮やかに
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TPOに合わせた着物のコーディネートの注意点とは?
着物には「格(かく)」というものがあり、フォーマルからカジュアルまでどういった場面にふさわしいのかがランク分けされています。着物で訪れる場所と格がずれてしまわないように、コーディネートの際には注意が必要。着物の格は、以下のように分けられています。
(1)礼装着(第一礼装)
冠婚葬祭や式典などの改まった場で着られる、最も格が高い着物です。
打掛・黒留袖・本振袖・喪服などが礼装着にあたります。
(2)略礼装着(準礼装着)
入学式や結婚式、パーティーなどのフォーマルな場で着られる着物です。
色留袖・訪問着・附下(つけさげ)・振袖・色無地・江戸小紋の紋付など。
(3)外出着
フォーマルからカジュアルまで幅広い場面で着ることでき、TPOにあわせた調整がしやすい着物です。
小紋・附下小紋(つけさげこもん)・小紋(友禅)・紬(つむぎ)の訪問着・無地の紬・絞り・お召・更紗(さらさ)などが外出着とされています。
(4)街着・普段着・浴衣
ちょっとした外出など、日常生活の中でカジュアルに着られる着物です。
紬(つむぎ)・絣(かすり)・黄八丈(きはちじょう)・ウール・銘仙(めいせん)・木綿・浴衣など。
また、帯にも格があります。丸帯・袋帯はフォーマルな場、名古屋帯はお出かけ、半幅帯はカジュアルといった使い分けをします。着物の格と合わせることがポイントです。
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美しい状態を保てる着物の保管方法を知りたい
着物の保管方法として、まず必要なのが「たとう紙」。たとう紙は着物を収納するための専用の包み紙で、カビや埃、シワなどを防ぐことができます。
たとう紙は、着物一着に対して一枚使い、複数の着物をまとめて包まないようにしましょう。まとめて包むと湿気がこもりやすくなったり、シワの原因になってしまいます。
包んだ着物は、桐のタンスや着物用収納ケースに入れて保管。美しいまま保管するには通気性の良さがポイントになるので、詰め込みすぎないように注意してください。
着物にとって、虫やカビは大敵。防虫剤や除湿剤も使って防ぎましょう。ただし、複数の防虫剤を入れたり着物に触れるように置いてしまうと、汚れやシミの原因になりかねません。また、定期的に交換しないと効果が薄まってしまったり、除湿剤によって集められた水分が逆にカビの発生源になってしまうことも。特にプラスチック製の衣装ケースは通気性が悪いので、除湿剤の交換などのメンテナンスを頻繁にする必要があります。
また、着物はしまったきりにせず、定期的(年に2回程度)に「虫干し」をすることが大切。タンスや収納ケースから取り出して、風通しの良いところで1~2日程度陰干しをしましょう。この間にたとう紙も交換して、こもっている湿気を取り除きます。
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サイズの合わない着物は処分するしかない?
身長や身幅が多少違うくらいであれば、着物は着付けの仕方で調整することが可能。例えば着丈であれば、着物をたくし上げて帯の下に折り込む「おはしょり」で丈の長さを調整できます。調整してもまだ長い場合は、着物を引っ張り上げ胸紐を使って固定するといった調整も可能。着物の身幅が大きくてぶかぶかな場合も、脇の下に折り込むように着付ければシワなくぴったりと着ることができます。
このように、着物は着付けである程度柔軟に着ることができますが、それでも限界はあるもの。そんな時は、仕立て直しや寸法直しを検討してみましょう。
着物は縫われている部分を解くと1枚の反物に戻ります。その状態から今の体に合わせて仕立て直すのが仕立て直し。大きいものを小さくするのはもちろん、多少余裕を持って仕立てられていた着物の場合は、小さいものから大きいものにできる可能性もあります。
袖の一部だけの調整といった場合は、合っていない部分だけを寸法直しすることも可能です。
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着物の所作やマナーがわからない
着物を着慣れないうちは立ったり座ったりするだけでも動きづらさを感じたり、時間が経つと着崩れてしまうこともあるでしょう。着物を着ている時の所作を覚えれば、美しく見えるうえ動きやすく疲れにくくなります。以下で着物での所作やマナーの一例をご紹介しますので、参考にしてみてください。
・歩き方
着物で歩く際には背筋を伸ばし、裾が乱れないように小またで歩きましょう。
ひざはなるべく曲げず、少し内また気味にするのがポイント。履物を引きずらないように注意しましょう。
・椅子の座り方
帯がつぶれてしまわないように、背もたれを使わずに浅く腰掛けます。振袖のように袖が長い場合は畳んでひざの上に置きましょう。また、後ろ側の裾が地面についてしまうことがあるので、座る際にひざの裏に入れ込むように座ります。
そのまま食事をする場合は、ひざの上にハンカチを置いて着物が汚れないようにしましょう。
・物の取り方
テーブルの上の物などを取る際には、片方の手で袂(たもと ※袖全体のこと)を押さえるようにして取ります。袂を押さえておかないと袖を手前の物に引っ掛けてしまったり、着物が汚れる原因にもなるので要注意。
高い位置の物を取ったり手を上げたりする場合も、二の腕が見えないように袖口を片方の手で押さえるようにすると美しい佇まいになります。
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着物を汚れやシミに気付いた時の対処法とは?
着物の汚れの対処法は、汚れの原因によって異なります。汚した瞬間に慌ててこすったりすると、汚れを広げたり、生地を傷めてしまうので逆効果です。
・油性の汚れの対処法
ファンデーションや口紅、ペンのインクなどが油性の汚れ。この場合、汚れてもいい布の上に着物の汚れた部分を置き、ベンジンを脱脂綿に含ませたものでトントンと叩くようにして汚れを落とします。
・水性の汚れの場合
お茶やコーヒー、お醤油などの水性の汚れ落としには、食器洗い用の中性洗剤が役立ちます。中性洗剤を15倍ほどに水で薄め、染み込ませたガーゼなどで汚れている部分を軽く叩いて落としていきましょう。油性汚れの時と同様に下に布を敷いてください。
・タンパク質を含む汚れの場合
タンパク質を含む汚れの一例は、血液や卵・乳製品、赤ちゃんのよだれなど。タンパク質を含んでいる場合、温めると固まってしまうので注意しましょう。こすらず、タオルやハンカチでそっと水分を吸い取るように拭くようにしてください。汚れがひどい時は、水性汚れと同じように中性洗剤を使って汚れを落としましょう。
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【着物に関する相談も歓迎】幅広い知識と技術が学べる着付け教室
「着物を着る機会を増やしていきたい」「せっかく着物を着るなら美しく着こなしたい」そんな思いをお持ちの方は、着付けの方法だけでなく、所作やマナー・保管方法・着物の見せ方などの幅広い知識を身に付けることをおすすめします。
着物の文化や立ち居振る舞いを知ると、着物の新たな魅力にも気付くことができ、着物をより楽しめるようになりますよ。
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