夏の着物に合わせたい、半幅帯の結び方
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夏着物にピッタリな半幅帯の結び方
その名のとおり、一般的な帯の半分の幅が特徴の「半幅帯」。夏のカジュアルな着物に合わせることが多い手軽な帯です。ここでは、さまざまな半幅帯の結び方をまとめてみました。
※すべて伊達締めを締めた状態から始めます(必要な場合はベルト付きの帯板を用います)
半幅帯の結び方1.「文庫結び」
江戸時代から続く伝統的な結び方。女性らしい上品な帯結びです。
1.手先の長さを決めます。帯端から50cm(帯幅の約3倍)くらいの長さを半分に折り(手先)、衿元にピンチで留めます。
2. そのまま帯を開きながら巻き始め、しっかり引き締めながら2周巻きつけます。
※ポイント:帯は前に引っ張るのではなく、真横に引いてください。同時に下の帯を掴むことでしっかり締まります。
3.たれを下から上に折り上げます。
4.テとたれを結びます。手先をたれにかぶせるように下ろし、たれ先が上になるようにしてぎゅっと結びます。
5.文庫の羽根部分を作ります。テを肩にかけ、たれを肩幅の長さにたれ先から内側に折りこみます。
6.羽根の中央を持ち、谷折りに2つ山ひだを作ります。山ひだを押さえたら、手先を結び目の下から通します。もう一度手先を結び目の下から通し、しっかり上に引っ張ります。
7.残ったテは帯と帯板の間に入れ、下から引っ張ります。残りは帯の中にしまいます。
8.できあがった羽根をキレイに整えます。
9.リボンの結び目と帯下を持ち、右回りで後ろに回して完成です。
半幅帯の結び方2.「レイヤー結び」
束が重なる層がレイヤーになることからその名がついた「レイヤー結び」。パタパタと折りたたんで結ぶ様子から「パタパタ結び」とも呼ばれています。長尺の帯がおすすめです。
1. 手先の長さを決めます。帯端から30~40cm(帯幅の約2倍)ほど取り、縦半分に折ったら衿元にピンチで留めておきます。
2. そのまま帯を開きながら巻き始め、しっかり引き締めながら2周巻きつけます。
※ポイント:帯は前に引っ張るのではなく、真横に引いてください。同時に下の帯を掴むことでしっかり締まります。
3.たれ先を下から細く折り上げ、クリップを外した手先を上にしてしっかりと結びます。
※ポイント:体に巻いた帯の上線に置くように結ぶと崩れにくくなります。
4.もう一度手先を上にして、たれで作った輪の中に通してギュッと結びます。
5.たれ先を肩幅ほどの長さにして、ジャバラにパタパタと畳みます。
6.畳んだ束をすべて掴み、結び目をくぐらせます。結び目に上の束を被せます。
7.好みの形に整え、右回りで後ろに回して完成です。
※ポイント:ひだがたくさん見えるようにバランスよく広げると綺麗です。
半幅帯の結び方3.「みやこ結び」
みやこ結びはリボン結びのように見える結び方で、「リボン返し」とも言われています。
1.手先の長さを決めます。帯端から40cm~60cm(帯幅の約4倍)くらいの長さを半分に折り、衿元にピンチで留めます。
2. そのまま帯を開きながら巻き始め、しっかり引き締めながら2周巻きつけます。
※ポイント:帯は前に引っ張るのではなく、真横に引くこと、下の帯を掴むことでしっかり締まります。
3.たれを下から上に斜めに折り上げます。
4.手先をたれの上にかけ、帯の上線でひと結びします。
※ポイント:ここでテとたれがだいたい同じ長さになっていると綺麗に仕上がります。
5.たれで輪を作り、手先を上にかけリボン結びをします。
6.半分になっていたリボンの帯を広げ、形を整えます。
7.手先とたれ先を1枚ずつリボンの結び目の下から通します。リバーシブルの帯の場合、どちらかの違う柄が出るよう調整しても素敵です。
8.結び目から出した手先とたれ先が、リボンの結び目を隠すようにかけます。
9.リボンの形を調整し、帯を右回りで後ろに回して完成です。
半幅帯の結び方4.「二筋太鼓」
帯締めと帯揚げを使用するお太鼓風の華やかな結び方。少しきちんと感を出したいときにおすすめです。
1.手先の長さを決めます。帯端から40cm~60cm(帯幅の約4倍)くらいの長さを半分に折り、衿元にピンチで留めておきます。
2. そのまま帯を開いた状態で巻き始め、しっかり引き締めながら2周巻きつけます。
※ポイント:帯は前に引っ張るのではなく、真横に引いてください。同時に下の帯を掴むとしっかり締まります。
3.たれを下から上に斜めに折り上げます。
4.留めていた手先を中心に移動してたれの上にかけ、帯の上線でひと結びします。帯先が左右同じくらいであることを確認し、もう一度同じように結び固結びにします。
5.帯の先を重ね合わせ、固結びの下から上に通して結び目の上にかぶせます。この時点では完全には帯を引ききっておらず、帯先はだいたい膝くらいの長さ。余った帯は帯の中にしまい込み、これから作るお太鼓の土台にします。
6.重なった2枚の帯を横にずらし、お太鼓の幅を決定します。帯の上側に帯揚げを当て、背中で仮結びします。
7.お太鼓の長さを決め、だいたい帯の下のラインに合わせて仮り紐を結びます。
8.帯締めをお太鼓の中に通し、後ろで軽く結び、お太鼓の形を整えます。
9.お太鼓をしっかり持ち、右回りで後ろに回します。仮り紐を取り、前板を帯の間に入れます。簡単に結んだ帯揚げ帯締めをキレイに結び直します。完成です。
半幅帯の結び方5.「割り角出し(わりつのだし)」
お太鼓から羽根が出たように見える、粋でかわいらしい帯結び。見た目よりも簡単なので、ぜひ挑戦してみてください。
1.手先の長さを決めます。帯端から30cm(帯幅の約2倍)くらいの長さを半分に折り、衿元にピンチで留めます。
2. そのまま帯を開きながら巻き始め、しっかり引き締めながら2周巻きつけます。
※ポイント:帯は前に引っ張るのではなく、真横に引いてください。同時に下の帯を掴むことでしっかり締まります。
3.たれ先を下から上に斜めに折り上げます。
4.ピンチを外したテの上にたれをかぶせ、穴からたれを引き抜きギュッと結びます。
5.テを斜め上に折り返し、たれを重ねます。
6.テとたれが交差した部分から、たれ先を片輪(かたなわ)結びのようにして結びます。
8.結び目の下にあるたれを開き、結び目の下から引き抜きます。
9.もう一度たれを結び目の下から引き、途中で止めて、たれ先を帯の下線から5cmほど残します。
10.引いたたれを下ろして、全体の形を整えます。
11.帯の脇をしっかり持ち、右回りで後ろに回して完成です。
半幅帯の結び方6.「カルタ結び」
結ばず、畳んで完成する帯結び。結び目がペタンコなので、椅子にもたれても崩れにくく安心です。
1. 手先の長さを決めます。帯端から60cmくらい(帯幅の4倍ほど)の角をクリップで留め、クリップに対して直角になるように帯を折ります。
2.たれを胴に2周巻き付けます。
3.クリップを帯の下線に留め、テを下から上に折りあげて帯と帯板の間に通し、下に引き出します。
4.たれ先を肩幅にして、ロール状に巻いていきます。
5.テを下から上に巻き付け、胴体の中に通します。
6.形を整え、右回りで後ろに回して完成です。余った手先は出しても帯の中にしまっても大丈夫です。
半幅帯の結び方7.「貝の口結び」
二枚貝の口のように見えることからその名がついた結び方。大人の女性におすすめな、粋でスッキリした帯結びです。
1.手先の長さを決めます。帯端から50cm(帯幅の約3倍)ほど取り、縦半分に折ったら衿元にピンチで留めておきます。
2. そのまま帯を開きながら巻き始め、しっかり引き締めながら2周巻きつけます。
※ポイント:帯は前に引っ張るのではなく、真横に引いてください。同時に下の帯を掴むことでしっかり締まります。
3.たれ先を腕ほどの長さに内側に折り返します。
4.手先を下にたらし、たれ先が上になるよう被せてギュッとひと結びします。
5.たれを下ろし、内側斜め上に折り上げます。
6.手先の輪が下になるようたれに通します。
7.帯の形を整え、結び目の上と帯下を持って右回りで後ろに回して完成です。
半幅帯の結び方8.「吉弥結び(きちやむすび)」
女形の上村吉弥が考案したといわれる帯結び。大人っぽい印象で、体型カバーにも一役かってくれます。
1.手先の長さを決めます。帯端から50cm(帯幅の約3倍)ほどを取り、縦半分に折ったら衿元にピンチで留めておきます。
2. そのまま帯を開きながら巻き始め、しっかり引き締めながら2周巻きつけます。
※ポイント:帯は前に引っ張るのではなく、真横に引いてください。同時に下の帯を掴むことでしっかり締まります。
3. 手先を下ろし、たれ先が上になるよう被せて結びます。
4.帯の根元が平らになるように広げて帯の長さが半分になるよう内側に折り、折ったまま肩にかけておきます。
5.テを斜め上に折り上げます。肩にかけていた帯を下ろし、半分に折った帯のさらに半分の場所を持ったら、そのまま帯をテの中に通します。帯は全て引き抜かず、先を15cmほど残しておきます。
6.帯の中に帯締めをします。
7.折り畳んだ部分を押さえながら帯を回し、帯の間に帯板を入れます。
8.帯締めをきちんと結び直します。
9. 結び目の上と帯下を持って右回りで後ろに回して完成です。
男性向けの半幅帯の結び方.「浪人結び」
武士の結び方であったと言われる浪人結び。簡単でほどけにくい、便利な結び方です。
1.帯の端(手先)を50cmほど半分に折り、ふた巻きほど体に巻きます。1周するごとにしっかり締めましょう。
2.巻いてきた垂れ先を内側に折り返し、手先と垂れ先を同じくらいの長さにします。
3.たれ先を手先にくぐらせ、垂れ先が上に来るように結びます。
4.たれ先を、体に巻いた帯の間に挟み込みます。
5.手先を折り上げて結び目の間に入れます。
6.形を整えたら、結び目を右回りで後ろに回して完成です。
夏着物のお供「半幅帯」とは
半幅帯ってどんな帯?
半幅帯とは、一般的な帯の幅(約30cm:8寸)の半分ほどの細長い帯(約15cm:4寸)のことを指します。
半幅帯の始まりは、着物を巻くために使われた紐であったと言われています。時代とともに装飾的な意味合いが強くなり、現在の帯幅に変化しました。
半幅帯には以下のような種類があります。
1.小袋帯(こぶくろおび)
2枚の生地を縫い合わせた袋状の帯。生地の表裏どちらにも柄があります。リバーシブルの帯では、両面の柄を活かした結び方も楽しめます。
2.単衣帯(ひとえおび)
一枚生地で作られた薄い帯。厚みがなく涼しいので、夏季の使用に向いており、主に浴衣に合わせることが多い帯です。
半幅帯とほかの帯との違い
半幅帯は基本的にカジュアルな場面で使用できる帯。対して袋帯はフォーマル、名古屋帯はセミフォーマルな場面で使用します。どの帯も素材によって少しずつ長さが変わります。
種類 | 半幅帯 | 袋帯 | 名古屋帯 |
---|---|---|---|
幅 | 330~380cm | 420~450cm | 330~350cm |
長さ | 15~17cm(四寸) | 30cm前後(八寸) | 30cm前後(八寸) |
着物 | 小紋、紬、浴衣 | 留袖、訪問着、振袖 | 小紋、紬 |
場面 | カジュアル(普段着・浴衣) | フォーマル(礼装用) | セミフォーマル(普段着) |
浴衣に合わせるイメージが強い半幅帯ですが、小紋・紬の着物などに合わせることも可能。価格が安く種類も豊富なため、初心者が挑戦しやすい帯です。
着物・浴衣、それぞれに合う半幅帯
半幅帯にもさまざまな素材や柄があります。着物と浴衣、それぞれに合った帯を選んで着こなしを楽しみましょう。
・着物向けの半幅帯…裏地のあるしっかりした生地の小袋帯/着物の柄に合った色合い・柄のもの
・浴衣向けの帯…単衣帯(1枚生地で薄い)/夏の柄が入っている帯/夏向けの素材の帯