1月の着物～きもの12ヶ月シリーズ～
Contents
1月にふさわしい着物や帯の種類
1月に着る着物の種類
1月の着物は、胴裏（どううら）と八掛（はっかけ）と呼ばれる2枚の裏地を付けている袷（あわせ）を着用します。袷は二枚仕立てで暖かく、気温が低くなる10月から5月中旬頃まで着られる着物です。
寒さの厳しい1月には、軽くて暖かい縮緬（ちりめん）や真綿紬（まわたつむぎ）の着物がおすすめ。縮緬は生地表面のシボと呼ばれる細かい凹凸が、シワのよりにくい柔らかな質感と落ち着きのある色彩をつくり出しており、真綿紬は手織りで作られているので、しなやかで扱いやすいのが特徴です。
1月に着たい着物の色や柄
新年になりおめでたい季節の1月には、オレンジや赤など暖色系の明るい色が似合います。寒色系なら深みのある青や黄色を選ぶと、新春の雰囲気が感じられる着物になるでしょう。
着物の柄には新年らしい松竹梅などの吉祥文様（縁起が良いとされる文様）や雪持ち笹（ゆきもちざさ/笹の上に雪が積もった様子の文様）などがぴったり。柄が大きめに描かれている着物を選ぶと、より着物の華やかさが際立ちます。
1月の帯や長襦袢は？
帯は袷用の透け感のない素材を着用しましょう。深緑やえんじなど深みのある色を取り入れると、新年にふさわしい装いができます。
着物に薄い色を使用したい場合は、帯や帯締めで宝尽くし（縁起の良い宝物が集められた文様）や鳳凰（ほうおう/平和を象徴した柄）など豪華さを感じる柄を取り入れるのがおすすめ。落ち着いた色や柄の着物が好きな方は、帯や帯締めを茶色や黒で引き締めると個性的な着こなしになるでしょう。
長襦袢や肌着は袷と同じく温かい素材を選びましょう。袷の柄が華やかな分、長襦袢は淡い色使いや落ち着いた柄のものがおすすめです。小紋や紬など、普段着として着られるような着物で色や柄が控えめのものであれば、あえて長襦袢を濃い色や柄があるものにすると目を引くワンポイントとなり、コーディネートも楽しめます。
1月は防寒対策をして暖かく着物を楽しむ
1月のお出かけには、着物の下に防寒対策を万全にしましょう。
寒さ対策で有効なのは、羽織や和装コート、ポンチョ、ケープ、ストールなど。洋服で例えると羽織はカーディガンと同じ扱いになるので室内でも着用でき、寒い時に重宝します。和装コートは長時間の移動に最適。ポンチョ・ケープ・ストールは羽織や着物用コートを持っていない方でも気軽に着用しやすく、カジュアルで可愛い印象の着物姿になります。
1月はインナーでの防寒対策も必須。長襦袢の下にはヒートテックのような薄手の保温機能の高い下着を着用しましょう。着物の首元から見えないよう、襟ぐりが開いたデザインを選ぶのがポイントです。
着物の隙間から風が入ってくるのが気になる方は、レギンスやスパッツを履くのがおすすめ。気温が高くても風の強い日は体が冷えやすいので、防寒対策を万全にしておきましょう。
手元や足元の寒さ対策として、肘まである長めの手袋や裏起毛付きの足袋を身に付けると一気に暖かくなります。東北や北海道など寒い地域に住んでいる方は、インナー足袋を着用するとさらに寒さを和らげてくれます。カジュアルな場面であれば、着物にブーツを合わせると防寒対策になり、コーディネートの幅も広がります。
1月におすすめの着物コーディネート
初釜には色無地に経錦がぴったり
色無地は流派を問わず、新年の初釜（お茶会）などに着ていくことが可能。フォーマルな経錦（たてにしき/複数の縦糸の浮き沈みで織り出す技法）の袋帯（ふくろおび/表と裏の生地が袋状になった帯）は品よく、おもてなしをするのにふさわしい着物です。
経錦は2000年6月には国の重要無形文化財に指定されており、近年は伝統を守りつつ素材や織り方を変化させるなど活発な制作活動が行われています。芸術分野でも高く評価されている貴重な工芸技術が使われているため、品が求められるフォーマルな場面にふさわしい、きちんとした装いになります。
結城紬で新年のパーティーへ
美しい柄の結城紬（ゆうきつむぎ/茨城県結城市を中心につくられている紬の一種）に、刺繍訪問着（ししゅうほうもんぎ/年齢や既婚・未婚問わず着用できる準礼装の着物）を合わせたコーディネートは、新年会や賀詞交換会などで着用できます。改まりすぎず、でも普段とは違う装いにしたい時にぴったりの組み合わせです。
帯は着物に合う淡い色彩にすると、新年の華やかなパーティーにもぴったりなコーディネートになります。
金通しコートで寒さ対策もばっちり
冬の本番で寒さが続いている1月には、上品な光沢感のある金通し（きんとおし）コートがおすすめ。初詣やお宮参りなどで外を歩くことが多い日には最適です。コートの素材に気を遣うことで、お正月の華やかな場面にも合う着こなしになります。
冬でも少し暖かい日には、真綿の結城紬などを着ていると暑すぎる場合も。そんな時には生地のしっかりしたコートを単衣仕立てにして羽織ると、温度調節がしやすく快適に過ごせます。
