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きもの便利手帳

絽の着物の着付けと、夏におすすめのコーディネート

絽の着物を着付ける前の基礎知識

「絽」の着物の特徴

絽(ろ)は平織りとからみ織り(もじり織)を組み合わせた織物で、「絽目(ろめ)」と呼ばれる細かい穴が縞状に入っているのが特徴です。生地の目が大きく開いているため通気性がよく、透ける涼しげな生地なことから、夏の着物とされています。

絽の生地は色無地や小紋といったカジュアルなものから、留袖や訪問着、喪服といったフォーマルなものまで幅広く使用されるため、夏の着物の代表格と言えるでしょう。

一般的な絽の着用時期は6月から8月末とされています。
しかし、最近は真夏日が続くようになってきたため、着用時期のルールは昔よりも緩やかになっています。生地の透け具合、絵柄、着ていく場所などを考慮し、気温に合わせて判断したほうが良いでしょう。

絽と紗、羅などの違い

夏着物の素材は絽のほかにも紗(しゃ)、羅(ら)などがあります。
紗はからみ織という手法で織られており、絽よりも全体的に生地の目が開いているため透け感が強く、通気性が高いのが特徴。サラリとした肌心地で、盛夏でも比較的涼しく着ることができます。ただし、紗はカジュアル~セミフォーマルな素材なので、改まったシーンでの着用は避けましょう。

羅は絽や紗よりもさらに目が粗く、通気性に優れた素材。鳥を捉えるための網が由来となっており、複雑な織り方をするため、目は粗くとも強度のあるしっかりとした生地です。絽や紗よりも透け感が強く、カジュアルな装いに用いられます。

絽の着物を着付けるコツ

夏の着物、いわゆる「薄物」は透け感が特徴ですが、その透け感ゆえ、着こなしには注意が必要。室内でチェックした際には問題なくても、外へ出て日差しにあたると自分で思っていた以上にも透けてしまっている…ということもあるので要注意です。
必要以上に透けるのを防ぐためのポイントを3つご紹介しておきましょう。

ポイント1. サイズの合う一部式の長襦袢を着る

上下が分かれた二部式の長襦袢は、袖付や腰の切り替えなどがはっきり映ってしまうことがあるので避けましょう。また、サイズの合わない長襦袢は体の線がきれいに見えません。長襦袢には着物を汚れから守るという役割がありますが、足首、手首の丈が短いと体の汗や皮脂の汚れが着物に直接付いてしまうこともあるため、サイズの合ったものを選びましょう。

ポイント2. 居敷当て(いしきあて)を付ける

着物の後ろ身ごろ、下半身の部分に「居敷当て」という白い布をつければ、自分では確認しづらい後ろ姿の透けを防ぐことができます。

ポイント3. 肌襦袢、裾除けを着る

夏素材で長襦袢も透けるという場合は、肌襦袢と裾よけをつけて防ぎます。裾よけの代わりにステテコをはく場合は、脚のラインが透けて見えないように幅広のものを用意しましょう。

絽の着物、夏の着物の注意点

夏の着物を綺麗に着こなすには、透け防止や暑さ・汗対策が大切。
補正には汗を吸ってくれる大判ガーゼを使い、透けてしまう紐は極力減らしましょう。メッシュの帯板、麻の帯枕など通気性のある夏用の小物を使うと涼しく感じられます。

着付けの前には冷房を強めに入れて部屋を冷やしたり、冷却シートを首筋や脇の下に貼ったりして汗を抑えましょう。日傘や扇子のほかに、ガーゼなどでくるんだ保冷材をバッグに入れておくと、首筋にあてて体を冷やせるので便利です。

夏も着物美人!絽の着物のコーディネート

夏の着物は清涼感を感じさせる着こなしが基本。おすすめのコーディネートをご紹介します。

ダークトーンの涼やかコーデ

遠目にはグレーに見えるほど細かい縞模様が入った、万筋文様の絽縮緬(ろちりめん)の江戸小紋。帯も帯締めもグレー系でまとめ、ワントーンコーデに仕上げます。銀糸が織り込まれた紗の扇面文様の袋帯を合わせれば、涼やかでエレガントな装いになります。

季節を先取り、夏のセミフォーマル

縦に白い縞が入った涼しげな模様の生成り色の付け下げには、くすみがかったベージュの絽の染め帯を。小菊や萩など秋の花が描かれた帯で、秋を先取りしましょう。帯締めは同系色を選んで全体の色合いをまとめ、黒いパーティーバッグで全体を引き締めます。

涼しさと軽やかさを演出するならパステルカラー

夏といえば、やっぱり水色

百合を中心に、可憐な花を描いた涼やかなスカイブルーの訪問着には、白地にブルーグレーの色紙柄を刺繡した豪華な紗袋帯(しゃぶくろおび)を合わせて、夏のパーティなど華やかな席にふさわしいコーディネートに。着物と同じ水色の帯締めで統一感を出しましょう。

透明感のある軽やかなレモンイエロー

さまざまな色の源氏車と白い観世水が描かれた品格あるレモンイエローの訪問着には、白地に花菱模様の紗袋帯を合わせてすっきりした印象に。淡い黄緑色の帯締めは、装いのアクセントになります。

さわやかなペパーミントグリーン

桐と唐花を取り合わせた華やかなペパーミントグリーンの色留袖には、白地に格調高い菱模様の紗袋帯を合わせてみましょう。伊達衿や帯締めなどの小物をシルバーでまとめれば、改まった席にふさわしい装いに。

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