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きもの便利手帳

【着物のことわざ・慣用句30種類!】着物から生まれた言葉の意味とは?

着物に関することわざ

着物に関することわざ

石臼に着物を着せたよう

着物の着方が不格好なことを指します。

帯に短かし襷(たすき)に長し

帯にするには短く、襷(たすき)にするには長い布の様子から、中途半端なことを表しています。「襷には短し手拭(てぬぐい)には長し」といった使い方も。

借り着より洗い着(かりぎよりあらいぎ)

借りた着物で着飾るよりも、自分で洗った着物を着るほうがよいという言葉。人に頼って贅沢をするより、貧しくても自分でやっていくほうがよいという意味を持つことわざです。

故郷に錦を飾る

「錦(にしき)」とは、多種多様な色の糸を使った織物。故郷を離れていた者が、立派な着物を着られるほど立身出世して帰ってきたことを表しています。

衣は新に如くはなく、人は故に如くはなし

衣服は新しいものがよく、友人は古くからつきあいがある者がよいという意味です。

袖の下に回る子は打たれぬ

叱る時に逃げるような子は追いかけてでも打ちたくなるが、自分にすがりついてくる子はかわいくて打つ気になれないというたとえです。

無い袖は振れぬ

お金がないからどうしようもない、ということを表すことわざ。袖は財布を入れる場所だったため、「袖がない=お金を持っていない」というたとえになっています。

錦着ての奉公よりぼろ着ての我が世

高価な着物を着て奉公人として人に頭を下げるより、たとえぼろ着でも自由な暮らしがしたいという意味のことわざ。

着物の部位ごとに関する慣用句

襟に関する慣用句

襟が汚れていたり着崩れていたりすると、相手にだらしのない印象を与えてしまうもの。そのため、襟に関する慣用句は身なりや姿勢を整えるという意味を持つものが大半です。

・襟を正す

自己の乱れた衣服や姿勢を正しくする、それまでの態度を改めて、気持ちを引き締めることをいいます。

・衿付きが厚い

「衿付きが厚い」は金持ち・裕福という意味。

重ね着ができるのは裕福な者であったため、衿元の厚さ薄さが貧富を見分ける基準のようになっていたことが由来です。

袖に関する慣用句

袖に関する慣用句は、手元の動きやそこから連想される人の気持ちを表すものが多くなっています。

・袖を引く

袖を引いて人を誘う・催促する、人の袖を引いてそっと注意するなどの他に、異性に言い寄るという意味もあります。

・袖を連ねる

大勢の人が連れ立って行くことや、行動を共にすることを表します。

・袖にする

相手をおろそかにして、冷淡にあしらったり邪魔者あつかいしたりすること。

・袖褄(そでつま)を引く

異性に恋を仕掛けたり言い寄ったりする場面で使われる慣用句です。

・袖の別れ

男女が互いに重ね合わせた袖を解き離すさまから、朝を迎えて別れることを表しています。

・袖打ち合わす・袖掻き合わす

かしこまって左右の袖を寄せ合わせることから、相手に対する敬意を表します。

・袖を絞る

袖が絞れてしまうほど涙に濡れていることを表し、ひどく悲しんで涙を流すという意味の慣用句です。

・袖に湊(みなと)の騒ぐ

港に波が打ち寄せて騒ぐように、袖に涙がひどく流れることを指します。

・袖振り合うも他生の縁

「袖を振り合う」とは触れ合う・すれ違うという意味。すれ違っただけの人にも前世からの因縁がある、つまり、たまたま知り合ったり話したりするのは偶然ではなく縁があるのだということを示しています。

袂(たもと)に関する慣用句

「袂(たもと)」とは、和服の袖(そで)から下に垂れ下がっている部分。主に他者との関係性を表す慣用句に使われています。

・袂を分かつ

行動を共にした人と別れる、関係を断つ、離別する意味で使われる慣用句。かつて結婚して家族の元を離れる女性が、着物の袂を切って仕立て直したことに由来します。

・袂に縋る

人と行動を共にし、「願いを聞いてもらうまでは離さない」と人の袂をとらえている状態のこと。転じて、相手の同情を引いて助けを求める様子を表しています。

・袂を連ねる

人と行動を共にするという意味で、「袂を分かつ」の対義語にあたります。行動を共にするという意味では「袂に縋る」と同じですが、こちらのほうが協力的な意味合いです。

・袂を絞る

袂が絞れるほど涙を流すさま。ひどく泣くことを表しています。

裾(すそ)に関する慣用句

「裾」」は着物の腰にあたる部分より下全体を指しますが、主には足元の縁部分のこと。足元の様子や、ものの上下で下にあたる部分のたとえとして用いられています。

・裾を捲る・尻を捲る

口下手で交渉事の苦手な男が、相手との議論が面倒になった際に取りがちな行為や態度を例えた言葉。

居直ること、物腰を急に変えてけんか腰の様相を呈することなどを意味する表現です。

・肩を裾に結ぶ

着物の肩と裾とを取りちがえて着ていることを表し、なりふりかまわず働く様子や、妻が夫のためにかいがいしくふるまう様子を意味しています。

その他の着物に関する慣用句

・辻褄を合わせる

辻褄の「辻」は道が十字に交差する部分を指し、「褄」はきものの裾が左右に合うところで、いずれも合うべき部分を意味します。

そこから、道理が合うことを「辻褄が合う」、ちぐはぐなことを「辻褄が合わない」というようになりました。

・歯に衣(きぬ)着せぬ

「衣」とは衣服・着物のこと。袴に対して上半身に着る着物です。

言葉を飾らず、相手に遠慮せずに率直に思ったことを言うさまや、ずけずけとものを言うことのたとえ。

・足が出る

予算を上回ってしまうことで、赤字を意味する言葉。隠していた物事がばれてしまったさまを表す時にも使われます。予算が足りない状態で着物を仕立てると寸足らずになり、足が見えてしまっている状態に。「足が出る」はこのさまを語源としているという説があります。

・左前になる

「経営状態が悪くなる、物事がうまくいかなくなる」といった状態のこと。

亡くなった方に左前で着物を着せる習慣がある日本では、生きている方が着物を左前にして着用するのは縁起が悪いと考えられています。

・はしょる

はしょるは「端折る(はしおる)」が音変化した語で、元は着物の褄・裾を折り上げて帯などに挟むことを指します。端を折って短く縮める様子から、話をわかりやすくするために一部を省くという意味。

このように、日常で何気なく使っている慣用句やことわざには着物に関するものが沢山あり、着物が私たちの生活に深く根付いていることが伺えます。

※参照

「衣に関わりのあることわざについて」 (京都工芸繊維大学 熨斗秀夫氏)

「着物に関する慣用句」(ことわざ・慣用句の百科事典)

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