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きもの便利手帳

椿の着物~季節と着物~

椿の写真

今回は、冬に咲く花「椿」の着物について紹介します。
椿は冬の季節感を表す花で、着物にもよく描かれていますが、意味や柄の描かれ方によって、通年着られる場合と着用を控えた方がよい場合があります。

椿の着物・帯を着られる季節はいつ?

椿は日本原産で、古くから縁起のよい木として人々に愛されていました。冬になっても葉を落とさないので、霊力を持つ樹木として神事に用いられ、厄除けとしても使われていたのだとか。樹齢が長く、数百年美しさを保つことからも、神秘的な魅力を感じる花です。椿には赤色以外に白やピンクがありますが、いずれも決して派手ではなく、控えめかつ美しい花を咲かせます。花言葉は椿の色によって異なっており、赤は「控えめな素晴らしさ」、白は「至上の愛らしさ」、ピンクは「慎み深い」など、どれも女性の美しさや愛らしさを表現しています。

冬の花である椿の開花時期は、12月〜4月。椿は春を迎える季節に開花するので、春を告げる花とも呼ばれています。花や植物などが描かれている着物は、開花する時期より少し前の11月ごろから着用し始めるのが粋だとされています。

しかし、必ずしも冬にしか着てはいけないわけではありません。写実的で単独で描かれている場合は、1月〜3月の冬に着用するのがおすすめですが、写実的では無く総柄で描かれている場合は通年着用できます。

椿柄とひと言でいってもいくつかの文様の種類があり、文様によって込められた意味も異なります。

雪持ち椿

椿に雪が積もっている様子を表現する文様です。椿が感じさせてくれる冬の季節感を楽しめる文様です。

枝椿

椿の花だけではなく、枝のついた状態を表現した文様です。近年は花柄だけの文様も多いですが、昔は枝と一緒に描かれたものが主流で、現在も末長く愛されています。

遠州椿

江戸時代の茶人、小堀遠州が好んだ文様です。椿の花が着物全体に大きくデザインされています。

椿の着物は、女性らしい美しさと愛らしさを引き立たせてくれます。さまざまな文様があるので、あなたの好みの着物を探してみてください。

冬の花の椿、浴衣で着ていいの?

椿の浴衣

椿は着物だけでなく浴衣にもあしらわれていますが、冬の花である椿が描かれた浴衣を夏に着ても、マナー的には問題がないのでしょうか?

椿を描いた浴衣はもちろん夏に着てOK。文化やマナーの点でも着てはいけないという決まりはありません。椿は冬に咲く花ですが、夏に着る椿柄は涼しげな印象を感じさせられます。椿は気品があり派手なイメージがなく、落ち着いた雰囲気で大人の女性でも違和感なく着用できるので年代関係なく楽しめます。

椿柄の浴衣は華やかな文様から高貴で落ち着いた文様まで豊富にあり、あなた自身の好みやシーンに合ったものを選べます。赤を基調とした椿柄は、上品な可愛らしさがあり華やかさも印象付けられます。青や紫の模様とセットになった浴衣は、優雅で高貴な美しさを楽しめます。

椿の浴衣を控えるべきシーンはとくにありませんが、椿以外の花を鑑賞するときやお茶席に参加する場合は(浴衣だけでなく着物の場合も)気をつけましょう。茶道の世界では茶花として椿が用いられます。枝が描かれた枝椿は、床の模様と重なるので茶席に来ていくのは避けましょう。おもてなしの意味が込められている椿が、大胆に描かれた枝椿を着ていると霞んでしまうのです。

椿の着物・帯のコーディネートを知りたい!

椿柄の着物は、文様によってそれぞれ意味があり、季節やマナーに合わせて選びます。ここで気になるのは、自分にあった着物や帯・小物、コーディネート。一例を紹介しますので、華やかさを表現したいのか、落ち着いた雰囲気を表現したいのかをイメージしながら読んでみてください。

椿柄の帯を主役に

椿柄はパッと目立つ大柄なアイテムも多いので、それを引き立たせるために「ほかはお花を使わない」というコーディネートを試してみるのもおすすめです。

例えば、クリーム地にこっくりした赤・黄色・白で椿が染め抜かれた名古屋帯。この帯を主役にするために、花柄以外、という縛りに沿って、緑と青、白が混じった格子柄の伊那紬(いなつむぎ)を合わせてみます。
帯にも椿の葉の緑色が入っているから、白×緑系統のチェックというはっきりした組み合わせでも馴染みます。

帯締めは緑・紫・白の多色使いで着物と帯双方の色を取り入れ、アクセントとして緑・橙・紫のぼかし染めの帯揚げで暖色をちらりと加えると、配色は多いのに意外なほどスッキリまとまった、椿の帯が際立つ着こなしができますよ。

緑色の生地に赤と白の椿で爽やかに

椿柄は冬の花ということもあり、涼しげな印象を与えるとされているデザインですから、少し暖かくなった季節に着ると納涼感を表現できます。冬以外の季節感にフィットさせるには椿柄のデザインだけではなく、着物の色も拘ってみましょう。
緑色の生地に赤と白の椿が描かれた着物なら、涼しげで爽やかな印象を与えられます。白い帯と合わせることで、女性らしく優しい柔らかな雰囲気も引き立てられるのです。

春から夏にかけて屋外で着ると、逆説的に季節感を表す着こなしになりますよ。

優雅で高貴な印象をアップ

椿柄は着物全体に大胆に描かれているものが多く、華やかな印象を与えてくれるので、卒業式や結婚式のような厳かなお祝いの席に着ていくと品のある雰囲気を表現できます。

例えば白い生地をベースに赤い椿が描かれた着物には、暗めの赤や紺色の帯を合わせてみましょう。帯にはワンポイントで椿が描かれたものを選んでみると、より際立った印象を与えられるでしょう。

シンプルな赤の椿と紅白色でできたブローチを帯留として合わせれば、椿の印象をさらに深く刻むことができます。

季節のきもの憧れのきもの

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