きもので移動する時に注意することは?
きもので移動するときの注意点
きものを着て移動する際に注意したいのは、なるべく着崩れしないようにすること。そして、履き慣れない草履で転んだりしないようにすること。そのためには、電車やバスなどの公共交通機関を利用する際はとくに、荷物は最小限にしておくことや、羽織や足袋カバーできものや足袋を汚れから守ることなどに留意しましょう。車に乗る際、シートベルトが直接きものに当たってきものが汚れたり、擦れたりすることが心配な場合は、タオルや手拭いなどを間に挟みましょう。
電車やバスで移動時の注意
洋服を着ているときのように急ぎ足で発車間際の電車やバスに乗り込むことはできません。時間には余裕をもって行動しましょう。また、きものや足袋が汚れないように、羽織や足袋カバーを忘れずに! 座席に座る場合は、深く腰掛け過ぎず、背もたれには寄りかからないようにして、帯の崩れを防ぎましょう。
着崩れやきもののシワをなるべく防ぎたい場合は、立ったまま乗車を。ここでの注意は、吊り革や上部の手すりにつかまると、袖口が下に落ちて腕が露出してしまうことがあることです。きものでは、肌を見せないようにすることもマナーのひとつ。もう一方の手を添えて、袖口を手首のあたりで抑えるようにします。とはいえ、バッグなどの荷物を持っていると両手が使えないため、腕を上げず済む手すりやグリップにしっかりつかまるようにしましょう。
車に乗り込むとき
きものでタクシーや自家用車に乗り込むときは、荷物を手にしたままだと両手が使えないため、着崩れの原因に。荷物は車内の空いている場所に先に置き、手ぶらの状態で乗り込みます。袖が長い場合は体の前で一つにまとめて片方の手に持ち、シートに対して後ろ向きに、お尻から車内に入るイメージでまずシートに浅めに腰掛け、その後に頭を低くしてドアを通過させます。髪を高めに結い上げているときは、とくに注意しましょう。シートに手をついたり、ドアの上部や、後部座席に座る場合は前席背面についているアシストグリップをつかんで体を安定させた上で、フロントガラス方向に体を回転させながら揃えた両足を車内に収めます。
乗車中の注意点
乗車中は、シートになるべく浅く腰掛けて、アシストグリップにしっかりとつかまります。背中をシートに預けてしまうと、帯が崩れてしまう原因になるので、寄りかかり過ぎずに体幹と両腕で体を支えましょう。
車を降りるとき
車に乗り込むときと逆の動きをします。ドアが開いたら、シートやグリップで体を安定させながら、体をドアの方向に回転させて両足を揃えてドアの外に出し、前屈みになって頭を出してから両足を着地させ、腰を浮かせて立ち上がります。シートのどこかを手やヒジで押しながらサポートすると立ち上がりやすくなります。交通事情にもよりますが、ドアが全開になり、安全でゆっくり降りることができ、降り立つ足元が安定している場所で停車することも大切です。
車を運転するとき
道路交通法では運転時の服装や履物についての記載はありませんが、都道府県のほとんどに、下駄などの運転の妨げになる履物を禁ずる条例があります。運転する際は必ず、ドライビング用の靴に履き替えましょう。
たもとが気になる場合は、たすき掛けにするか、帯締めに挟み込みましょう。帯を潰さないように、運転席をいつもよりも少し後ろにリクライニングさせて、背中を預けないように姿勢を正して運転します。
秋田県、栃木県、愛知県、滋賀県、三重県の5県では、運転時に運転の妨げとなる服装を禁止する条例があるため、注意が必要です。