知るともっと楽しい! 帯締めについて
帯締めの由来と歴史
帯締めに使われる組紐は、天平時代に中国大陸から伝わり、奈良時代に日本に定着しました。おもに宗教や貴族文化と結びついて発展し、戦国時代の一時期に衰退。江戸時代に入って、武士が刀に付ける紐、「下緒(さげお)」として使用されるようになり、復興しました。
明治時代に入ると、「廃刀令」が発せられたことから組紐の需要は激減しますが、同時期に女性の和装でお太鼓結びが確立し、帯の形を保つための紐として必需品となりました。
現代に続く和装のかたちは、明治時代に始まったものだといえるでしょう。
帯締めの種類
丸ぐけと組紐
帯締は、大きく分けると丸ぐけと組紐に分けられます。丸ぐけは、布を筒状に縫い、中に綿を詰めた紐のこと。これは白無垢などの正装や子どもの振袖など、特別な機会に使われるものです。現在、大人の和装で用いられる帯締めは、組紐のものが主流です。
組紐による帯締めの種類と格式
平組(ひらぐみ)
平たい形状の組紐で、もっとも格式が高く、第一礼装にも用いられます。ほかの組み方の帯締めにも共通しますが、幅が広いほど格式が高くなり、とくに金銀糸の入ったものは留袖、訪問着、附下などのフォーマル用に使用します。金銀糸が入らないものやリバーシブルのもの、渋めの色味のものなどは、小紋や紬といった日常着寄りのきものに合わせます。
冠(ゆるぎ)組
少し厚みのある平たい組紐で、生地が柔らかく伸縮性もあり、締め心地のよさが特徴。
元は男性の冠の紐に使われた組み方だったため、金銀糸が入っていなくとも格が高いとされています。附下、訪問着、色無地などの準礼装から小紋、紬などのカジュアルまで、合わせるきものを選ばず、真夏以外は使用が可能。扱いやすく、幅広く使えるので、1本持っていると便利な帯締めです。
丸組(まるぐみ)
文字通り、丸く組まれた組紐です。表裏がないため、着付けを習い始めの方でも結びやすく、自然に形を整えることができます。基本的にはカジュアル向けで、軽やかで可愛らしいコーディネートにぴったりです。白一色や、白に金糸が組み込まれた太いものは、留袖などの礼装用となります。
三分紐
三分紐は、幅が約1cm未満の平組の細いタイプの紐で、帯留めを通すために必要な組紐です。幅が広ければ広いほど格が上がる帯締めにおいては、基本的にはカジュアル向き、趣味のものに分類され、紬や木綿の普段着のきものに合わせます。しかしながら、宝石を使った豪華な帯留めや、手の込んだ上質な帯留めは、訪問着や振袖などと合わせることもあり、式ごとには避けたほうが無難ですが、パーティなどの華やかな席にも映えます。真夏を含めて1年中締めることができ、リバーシブルになっているものも多いため、使い勝手のよさも魅力です。
帯締めの選び方
フォーマルには、上品で優しい、帯やきものになじむ淡い色合い、ビビッドな色はカジュアルという考え方が基本です。黒留袖など第一礼装の場合は、白か白に金を合わせたものを使用します。あらたまった席では不安のないものを選んで礼を尽くし、趣味の席では個性を活かした自由なコーディネートを楽しむことをおすすめします。
帯締めと季節感
現在は、通年締めることができる帯締めも多くありますが、やはり夏ばかりは涼しげな帯締めを選びたいもの。レース組と呼ばれる透け感のある帯締めで、夏らしさを満喫しましょう。また、前述の三分紐は通年使うことができます。