その半衿マナー違反かも!? TPOや季節できちんと使い分ましょう
きものを着る人の魅力を引きだす“和装小物”。
特に目につきやすい衿元を飾る「半衿」は、TPOや季節の違いに合わせたコーディネートが大切です。「半衿」の色やデザインをバランスよくコーディネートし、お手持ちのきものに合わせて和装を楽しむポイントをご紹介します。
Contents
1.この半衿はどのきものに合わせるのが正解?
きものは着用する時期や場所によって、仕立てや素材が変わります。「半衿」も着用するきものに合わせて変えることが“きもの美人”に見える着こなし術の一つです。
■半衿の生地の種類
「半衿」の素材に多く使用されるのは、「正絹」です。しかし、正絹は軟らかく高級感のある素材ですが、使用年数が長くなると黄ばみが発生し変色してしまうことも。
近年では「洗える正絹」の素材や「化繊」なども、手入れがしやすく人気があります。「交織」や「麻」などを使用した半衿も、きものに合わせて楽しまれています。
(1)塩瀬(しおぜ)
「塩瀬(白塩瀬羽二重)」は、横畝に特徴がある織り方で、気温の下がる秋の10月頃から春先の5月頃まで着用するきもので使用できます。振袖や留袖、訪問着などのさまざまなきものに合わせて、きもののコーディネートを楽しめるのがポイントです。
また、正装だけでなく、小紋や紬、御召、木綿などの単位仕立てのきものでも幅広く合わせられます。
(2)絽(ろ)
「絽」を素材とする半衿は、6月から9月下旬ごろまで着用する“夏の半衿”と覚えてしまいましょう。隙間のある織り方が特徴で、涼感のある雰囲気が夏の素材として爽やかなイメージの半衿になります。
夏に着用することの多い「裏地のない単衣仕立て」のきものなどに、合わせやすい素材です。
(3)麻絽(あさろ)
夏にきものを着用する場合に必要なのは、着ている人も見る人も涼感を味わえることです。7月や8月の盛夏期に着る夏紬や麻などの織物のきものに「麻絽」の半衿を合わせて、涼しげな衿元できものを楽しめます。
(4)楊柳(ようりゅう)
「楊柳」は、“ようりゅう”や“きんち”と呼ばれる、織り方が縦向きになった「縦しぼ」が特徴です。「楊柳」素材の半衿は、5月に着用する春単衣や9月頃着用する秋単衣に合わせた、きものの衿元に似合うと言われています。
(5)絽縮緬(ろちりめん)
「絽縮緬」は
“さらり”とした着用感が特徴の素材です。絽や麻絽などと同じ時期に使用しますが、特に6月や9月などに使われることの多い素材として知られています。きものは単衣のきものに合わせることが多く、小紋や織物など、どちらにも合わせられるおしゃれな半衿素材です。
(6)縮緬(ちりめん)
絽縮緬が夏向き素材であるのに対して、「縮緬」は冬の寒い季節に合う半衿の素材といえます。素材にもボリューム感があり、紬などのきものにもコーディネートがしやすい半衿になります。
■きものによって違う「半衿」の組み合わせは?
TPOも考慮に入れた「半衿」と「きもの」の一般的な組合せ例をご紹介します。おしゃれかな?と思っても、フォーマルな場合には色などの選択も大切です。
TPOに合わせたコーディネートで美しいきもの姿できものを楽しみ、「きもの美人」を披露してしまいましょう!
・振袖:塩瀬(白塩瀬羽二重)など / (色)白、もしくは白地に白などの刺繍も可能
・振袖(婚礼用):塩瀬(白塩瀬羽二重) / (色)白、もしくは白地に白・金・銀の刺繍
・留袖・色留袖:塩瀬(白塩瀬羽二重)など / (色)白、もしくは白地に白、淡い色の刺繍も可能
※冠婚葬祭は白のみ、茶会も白地が基本です。
・色無地・付け下げ:塩瀬、縮緬、絽縮緬、楊柳 / (色)白地に刺繍、色物(カラー)に刺繍
・小紋・紬・織り:塩瀬、絽、麻絽 / (色)白地や色物(カラー)や色物(カラー)に刺繍、柄ものなど
2.色や刺繍の入った半衿もきちんと使い分けましょう
近年では「半衿」の素材だけでなく、色や刺繍などのデザインされた半衿を楽しむことも、きものの魅力の一つです。とはいえ、TPOが必要になるときは季節だけでなく色を意識することも“きもの美人”になるポイント。
■フォーマルな場に色付き半衿はNG!?
「白」と「色物(カラー)」に分けられる半衿。「白」の半衿は、振袖・留袖・訪問着のフォーマルなきものに一般的に使用される基本のスタイルです。
少し薄めの淡い色の「半衿」であれば、セミフォーマルなきものと合わせることもあると言われています。きものと半衿のコーディネートは大切なことですが、TPOが関係してくる正式な場所には「白」の半衿がお勧めです。
近年人気のある「色物(カラー)」の半衿は、コーディネートに幅ができ、おしゃれな着こなしを楽しめます。アクセントとしてきものを明るく見せ雰囲気を変えるのにも役立ちますが、カジュアルなきものに合わせることが良いでしょう。
■刺繍半衿は刺繍糸の色に注意
「刺繍半衿」もTPOを意識した使い分けが大切です。白地の半衿に「白」「金」「銀」の刺繍は、婚礼で着用されることが多くあります。また、フォーマルで着用する際には、黒留袖や留袖、訪問着などに刺繍半衿を使用する時は、刺繍糸の色も注意が必要です。
淡い色目の半衿に刺繍のあるものは、付け下げや色無地のアクセントとしても魅力があります。
「色半衿」に刺繍のあるものと紬や小紋などのきものを合わせて使用するのは、カジュアルに着こなすポイントです。
3.幅広く半衿を使いたいならどんな半襟を選べば良い?
フォーマルな場所から普段使いのカジュアルなきものまで、幅広く使用できる半衿を1つは用意しておくことがお勧めです。
スタンダードな選び方は「塩瀬(白塩瀬羽二重)」の半衿でしょう。TPOに合わせた使い方ができ、フォーマルにもカジュアルにも対応できます。
まとめ
「半衿」は、着る人にも見る人にも魅力を添えるきものの一部で、大切なきもの用の小物です。お気に入りの「半衿」を用意し、フォーマルでもカジュアルでもTPOに合わせて、和装の着こなしを楽しみましょう。