きもののカビは予防できる! カビを発生させないための5つのポイント
高温多湿な日本では、どうしてもカビが生えやすく、日ごろから注意している人は多いのではないでしょうか。きものも例外ではありません。大切にしまっていたきものにカビが生えた、などということのないように、定期的なチェックが重要です。
Contents
1.どうしてきものにカビがついてしまうの?
きものにカビが生える原因は、「日本の気候の特徴」と「きものの生地の性質」の両方にあります。
まず日本の気候は世界にもまれに見る高温多湿地帯です。ちょっと油断すれば少しの水分と養分だけで、一気にカビの温床となってしまう可能性があります。
また、きものの生地には全て「地糊」が入っているのですが、その地糊が湿気によって、カビの温床となってしまうのです。
2.カビを発生させないためのきもの・帯類の収納のポイント
(1)保管用の収納ケース
できるだけ通気性のよい桐材を使ったタンスや収納ケースにきものを収めるのが理想的です。しかし桐材は高価で手が出ない、ということであれば底の浅いプラスチックの収納ケースに2、3枚のみ重ねて保管するようにするとよいでしょう。
(2)保管場所
湿気を避けることを第一に考えると、なるべく湿気がこない風通しのよい場所できものを保管するようにしたいものです。日ごろから意識して引き出しを開けるようにして、風を通すようにするとよいでしょう。
(3)防虫材
虫がつくことを防ぐために防虫剤は必須です。しかし、頻繁に袖を通さず長期間保管しておくことが多いきものは、昔ながらのナフタリンなどの防虫剤はどうしてもにおいがつくため、無臭タイプの新素材の防虫剤がよいでしょう。
(4)防湿材
部屋全体、そして収納ケースの両方の除湿を心掛けましょう。部屋全体には据え置き型の除湿剤を、収納ケースの下には除湿シートを準備しておくことをおすすめします。
(5)虫干し
風を通し、カビ菌を追い出すためにも、年に一度は湿気のない晴れた日には虫干ししてあげるようにしましょう。
3.それでもカビが発生してしまったら
デリケートなきものの生地にカビは大敵です。カビを生えさせないように注意を払うことが一番大切なのですが、どんなに気を付けていてもカビが生えてしまうことがあります。カビを見つけて「もうこのきものは着られない」と悲観せずに、専門業者に相談してみましょう。カビの進行段階によってはもう一度きれいになる可能性があるのです。
ここではカビの段階別に症状と対処方法についてまとめてみました。
●第一段階
軽く白斑点が出ている(白カビ)
きものに白い斑点を見つけたら、それは「白カビ」です。たとう紙が黄色く変色していることが特徴です。この白カビの段階で見つけることができれば、クリーニングで綺麗に元に戻ります。
●第二段階
黄色いカビがでている(白カビ発生後、数年経過したもの)
10年近くしまったままになっているきものによくみられるケースです。白カビ発生から何も手を打たずに放置して5~6年経過したころ、カビが白色から黄色に変色します。クリーニングでカビの変色を落とすことは難しく、きものを全部解いて洗ってから仕立て直す「洗い張り」が必要となります。
●最終段階
黒カビ
カビが出はじめてから15~20年経過するとカビの色も濃い茶色および黒色となります。この段階までカビが進行してしまうとまず元の色は取り戻せません。生地自体も弱っているため染め替えも難しい場合が多いでしょう。
まとめ
いかがでしたか? きものを長持ちさせるための保管のコツは、高温多湿の環境下できものを保管していることをよく認識して、定期的なチェックと除湿に注意することです。袖を通していなくても、年に一度か二度はきものをたとう紙から出してチェックし、できれば風通しの良いところでつるして風を通してあげたいですね。
大切なきものを長く着続けるために、湿気対策を重視した保管方法を守ることが大切です。