あなたもきもの美人に♡ 押さえておきたい、8つの基本マナー
和装のときには、着こなしだけではなくお洒落に魅せるための立ち居振舞いのマナーも大切です。きものを着た時に所作に取り入れることできもの美人になり、和の心を楽しむことができる「基本のマナー」や「コツ」をご紹介します。
Contents
1.立ち姿のマナー
きものを着たときにとても大切な「立ち姿」。着る人を綺麗に見せるだけでなく、より一層きものを美しく映えさせます。美しい立ち姿を作るには、足を内股気味にしてつま先が開かないようにし、両足を揃えるよりも片足を軽く後ろにずらします。
そのまま背筋を一直線に伸ばし、姿勢を正した状態を維持します。一本の糸で頭から腰まで吊られているような姿をイメージして立ってみましょう。両腕は軽く曲げ、帯の下あたりで自然に重ねるときものを着ている時のバランスがとてもよく、きれいに映ります。手や足の位置、背筋を伸ばした姿勢が立ち姿を美しく魅せるポイントです。
2.歩く際のマナー
やや内股気味に歩幅を小さくし、つま先をまっすぐ出すようにしながら歩くことが、きれいなきもの姿には重要です。また、草履や履物を引きずらないように注意し、大きな音を立てないように意識することも必要です。こうすることで、きものの裾が乱れるのも防げます。
きものに慣れていないと、歩きにくく、歩き方が不自然になってしまうことがありますが、右手を立褄(たてづま)に添えるときものの裾がひらひらと広がってしまうのを避けることができます。また、きものを着ているときは手荷物を左手に持つと歩き姿のバランスが良くなりますが、重い荷物は避けるようにしましょう。
3.車に乗る、または降りる際のマナー
車の乗降時に着崩れを防ぎ、美しく座るためのポイントは「お尻から座る」ことです。頭や足を先に車体に入れてしまうと、バランスが悪く、きものの裾を踏んで着崩れを起こしてしまう可能性もあります。
正しい手順は…
1. 車のドアを開けた状態で、手荷物を先に車に入れ、袖を体の前で揃えます。
2. きものの立褄を右手で軽く持ち上げます。
3. 座席にお尻から座り、横向きに浅く腰掛けます。
4. 片手で袖を軽く持ち上げ、お尻を軸にする形で足を揃え、車内に両足を入れます。
5. 帯に圧力がかかってつぶれないように浅く腰掛けて、裾を整えます。
降車する際には、上記を逆の順番で行い、車外できものの裾や帯の乱れがないかを確認し、手荷物を取ります。
4.階段を上り下りする際のマナー
基本的なきもののデザインは足が締め付けられるようになっており、足や歩幅も大きく出せません。階段を上るときも下るときも同様に、階段に対して身体を少し斜めにすることでスムーズに上り下りすることができます。
ポイントは、左手で袖を抱えるようにして重ねて持ち、右手で立褄を軽く持ちあげてきものの裾を踏まないように意識しながら階段を上りること。先に踏み出した足が階段に付くと同時にもう片方の足を階段に向かわせると、足首の露出を抑えられます。
5.手をあげる際のマナー
タクシーを止めるときや友人に居場所を知らせるときなど、さりげなく袖口を押さえることが、「手をあげる」際の大切なマナーです。その際、肩よりも上に手が上がらないように意識し、きものの袖口を押さえて二の腕が見えないようにします。
また、呼び止める際の動作としては、手をあげるだけでなく、顔や身体もあげた手の方向に向けると優雅に見えるかもしれません。きもの姿をきれいに見せるスタイルのポイントになります。
6.ものを持ち上げる際のマナー
ものを持ち上げるときや高い所に手を伸ばすときなど、肩のラインよりも高い位置に腕や手があがる作業には注意が必要です。腕をむき出しにしてしまうと、立ち居振舞いとして美しくありませんし、身頃の着付を崩してしまうこともあります。手を上げる場合と同じように、片方の袖口を軽く押さえながらできるだけ腕が見えないように荷物をあげることが大切です。
7.ものを拾う際のマナー
着崩れしないようにものを拾うためのマナーは…
1. 左手で立褄を持ち上げた後、右足を半歩後ろに引きながら腰を落としてしゃがみます。
2. 屋外の場合は地面や床に膝をつかないようにし、お座敷の場合は畳に膝をつけてかがみます。
3. 右の袂が下につかないように注意しながら、右手で拾います。
身体を起こすときは、上記手順の3 → 2 → 1の順に体を戻しましょう。膝を曲げずに拾うのは、お尻を突き出してしまう体勢になり、見た目にもあまり良くないので控えましょう。
8.食事する際のマナー
テーブルと椅子に座った時の身体の位置が、ゆとりのある座り方のポイントです。椅子に浅めに腰かけ、帯とテーブルの間にはこぶしひとつ程のスペースを空けるように座りましょう。テーブル上にあるグラスやお皿を受け取る場合は、片手で袖口を軽く押さえ、袂に汚れがつかないように注意します。
大判のハンカチを用意し、二つ折りにした「環(わ)」のほうが帯の方に来るように手前におき、膝にかけます。きもの着用時の食事では、きものを汚してしまわないかが一番の気がかり。とはいえ、襟もとにナプキンを掛けるのは上品とはいえないので、和装時には控えることがお勧めです。
まとめ
和装のときは、普段よりもエレガントに見られたいと思うもの。でも、特別な日だけに着たり普段着用されないことが多く、きものを着ることを控えてしまうこともありえます。ところが、マナーを知っているほうが緊張感を取り除けるというほど、「きもの着用時のマナー」は大切です。
せっかくきものを着たのなら、普段よりもマナーを意識して少しだけおしとやかに、和の心を楽しみましょう。