美しく疲れない、正座のコツ
座り方
きものを着て正座をすることに苦手意識をもつ方は多いことでしょう。正座は、膝や足首の柔軟性と体幹への意識が大切です。同時にきものを美しく保つために必要な所作もあります。大切なのは、慣れること。お茶会や式典など、きもので正座する機会の前には、あらかじめ練習しておくとよいでしょう。
①座る位置に立ち、右足を半歩後ろに引きます。
※座布団が置かれている場合は、座布団の下座側に立ちます。座布団に直接座らず、まず下座側の畳の上に座ります。
②右手で上前の腰のあたりを持ってわずかに引き上げ、左手は上前の太もも部分を押さえます。
③右手を下にすべらせて上前の裾を膝の下に入れながら腰を落とし、膝をついて正座の姿勢になります。
④両膝を軽く浮かせて、右手で裾の乱れを直します。
⑤両袖を膝の上に置きます。
※座布団が置かれている場合は、つま先を立てて低く膝立ちのような姿勢から、座布団の上に片足ずつ移動して座り直し、裾と袖の乱れを直します。
立ち方
①両足を揃えてつま先を立てて、お尻をかかとの上にのせます。
②右手で上前の太もも部分を軽く押さえます。
③左右どちらかの足を少し前にずらして体幹を意識しながら一気に立ち上がり、両足を揃えます。
座っている間の姿勢
背筋を伸ばし、お尻ではなくなるべく膝側に重心を置いて座ります。両手は膝の上で軽く重ねて揃えます。
なるべく足がしびれない、座り方のコツ
お尻に重心を置いて足の甲や足首に体重をのせてしまうと、圧迫から血流がとどこおって足がしびれやすくなります。体重をすべて下に落とすのではなく、天井から頭を糸で吊られているようなイメージで背筋を伸ばして、なるべく膝側に重心を置くように座ります。
お尻は、かかとの上ではなく、左右の足の親指を重ねてかかとを離し、八の字にした状態の間に収めるとしびれにくくなります。
長く座る場合は、重ねた親指の上下を入れ替えたり、重心の位置を変えたり、足を少し動かすなどして、血流をうながしましょう。
足がしびれてしまったら
正座している間に足のしびれを感じたら、重心を片方の足にそっと移してしばらく一方の足を休ませ、交互に繰り返すとよいでしょう。
立ち上がる際は、正座の状態からつま先を立てて、かかとの上にお尻をのせてしばらく体重をかけてストレッチし、しびれをやわらげてからどちらか一方の足を少し前に出して立ち上がります。すぐに歩き出すと転倒してしまうことがあるため、立ち上がったらまず半歩ほど後ろに下がり、足がしびれすぎていないことを確認してから歩きはじめます。立ち上がったものの、足の感覚がまったくなくなり、自分の意思では動かせないほどしびれてしまった場合は、重心を移動させただけで転倒してしまいます。慌てずに、近くに壁があれば壁に体を預けるか、周囲の人に支えてもらい、両手で片方の足を持って振るようにすると血流が戻ります。
お助けグッズ
よく知られている正座椅子は、コンパクトに折りたためるものが数多く販売されています。使用する際は膝頭をしっかり揃えることを意識しましょう。膝が離れてしまうと座り姿がだらしなく見えてしまい、前がはだけてしまうこともあるので注意が必要です。また、足の甲の部分にクッションがついたサポーターのような商品も開発されているので、探してみてはいかがでしょうか。