2月の着物~きもの12ヶ月シリーズ~
「2月ってどんな着物を着たらいいの?」「どんなコーディネ-トにすればいいの?」「寒さ対策は?」そんな着物に関する疑問にお応えします。
2月にふさわしい着物や帯の種類
10月~5月の間は、裏地のついた「袷(あわせ)」の着物を着用するのが一般的。裏地のない「単衣(ひとえ)」と違い、折り目がしっかり付いていて重厚感があるため、冬だけでなく秋から春まで着用されることが多い着物です。
2月は年間を通して最も冷え込む時期ですから、袷の中でも真綿紬(まわたつむぎ)で仕立てた着物がおすすめです。真綿紬とは、経糸(たていと)も緯糸(よこいと)もすべて、真綿で紡ぐ仕立て方のこと。他のものに比べてふっくらした真綿紬の着物を着れば、真綿のあたたかさにつつまれて、心も体も温もりに満ちることでしょう。
また、2月は新年が始まって間もない月であることから、豪華な装いが似合います。金銀などの糸を用いて織られた錦織(にしきおり)の帯を合わせれば、より上品さと華やかさをプラスすることができるでしょう。
半衿は塩瀬(しおぜ)やちりめん素材を、帯揚げはちりめんや綸子(りんず)素材のものを選びます。
塩瀬とは帯の生地のことで、締めると張りがあり上品な見た目に仕上がります。
ちりめんは、さらっと着こなせる絽(ろ)ちりめんと違い、厚みのある素材のため防寒対策にもなります。
綸子とは生糸を用いた絹の織物のことで、ちりめんほど厚みはありませんが、手触りの良さが魅力的です。
帯締めはレースなどの盛夏用のものでなければ、お持ちのアイテムを自由に合わせることができますよ。
2月におすすめの着物コーディネ-ト
厳しい寒さが続くと、街に並ぶ木々も枯れているものが多く、どんよりとした曇り空が多くなり、寂しい景色になることが多いでしょう。そんな時こそ、あえて華やかな色合いでコーディネ-トすることで、より着物が映えます。
例えば2月上旬であれば、グレーやベージュなど無地の落ち着いた色合いの着物に、梅や松が入った鮮やかな濃い色の帯を合わせることで、年明けらしい華やかさを楽しめます。着物自体は無地の柄にするのが派手になりすぎないポイントです。
2月の下旬ともなれば、着物や帯にピンクや桜柄を取り入れることで、違和感なく季節の移ろいを楽しむことができるでしょう。
「桜の季節には、ちょっと早くない?」と感じる方もいるかもしれませんが、着物の世界では季節の先取りがおしゃれの証。安心して楽しんでください。
また、3月3日の桃の節句が近いことから、金平糖や桜餅などの食べ物の色合い、手毬や駒などのおもちゃ柄をイメージしても良いでしょう。桃色の着物に緑色の帯を合わせると、さりげなく桜餅らしさを表すことができますよ。
季節を先取りする着こなしは難しそう…という方は、帯締めや帯揚げ、小物などにサーモンピンクなどの明るい色を使うことで、挿し色として楽しむこともできるでしょう。取り入れられそうなところに、春を待つ華やぎをプラスしてみてください。
2月の着物は寒い!防寒対策はどうする?
2月ともなれば、風も強くなり冷え込む季節。しかし、着物はうなじ部分を美しく見せるために首元があいていたり、袖口が広いため寒い風が入りこみやすかったり、足首が見えたりと、どうしても「3つの首」が冷えやすくなります。この「3つの首」への防寒対策をしっかり行うことで、寒い2月でも着物を楽しめるよう工夫しましょう。
まず基本的な防寒対策として、ヒートテックなどの保温性の高い下着の着用が挙げられます。内側からしっかり温めることで、首元があいていても寒さを感じにくくなります。
ですが、注意してほしいのが下着のネックタイプ。クルーネックなどの首元がつまったネックタイプのものだと、インナーが見えてしまいます。首元がしっかり開いている、バレエネックなどのインナーがおすすめです。
外側からの防寒対策としては、羽織や和装コートなどの防寒着の着用のほか、下着では覆えない首元はストールを巻いて暖めるとよいでしょう。
手元の防寒対策として、手袋の着用もOK。意外と袖口から風が入り込みやすいため、手首から先のものではなく、肘までしっかり覆うタイプを着用すると安心です。
現在はスマートフォンを使用することも多いため、指先が出し入れできるタイプだとより利便性が高いでしょう。
足元の防寒対策としては、レギンスの着用も挙げられます。タイツやトレンカだと歩行時に見えてしまう可能性があるので、長さを調整できるレギンスがおすすめです。
その他にも、足袋の重ね履きや、保温性の高い足袋を着用することで、足元が冷えにくくなります。
3つの首をしっかり温めることで、寒さを気にせずに着物を楽しみましょう。